診療科・部門紹介

小児泌尿器科

小児泌尿器科は小児期の泌尿生殖器疾患を取り扱う診療科です。泌尿生殖器疾患とは腎から外尿道口(尿がでてくる開口部)までの尿路および男児では精巣や陰茎、女児では外陰部の性器に発生する疾患のことです。
治療対象の多くは先天性(生まれつき)疾患となりますが、小児期に発症した後天性疾患(おおくの場合成人に発症し成人泌尿器科が治療を行う疾患)の治療も行います。代表的なものは尿路結石、泌尿生殖器の外傷などです。
小児泌尿器科疾患の中で最も発生頻度が高い停留精巣が男児の1%に発生すること(手術が必要)から推測されるように小児泌尿器科疾患は決してまれではありません。ちなみに茨城県の出生数から推測される患者数は停留精巣だけでも毎年80人以上になります。

診療内容

小児泌尿器科疾患は上述したように決してまれな疾患ではありませんが、成人泌尿器科の患者数と比較すれば少なく診断から外科的治療まで一貫して行える施設は日本では多くありません。すなわち正規の十分な研修を行った専門的知識・技術を有する医師が少ないのが現状です。(図)

当科では4名全員が小児病院の小児泌尿器科で研修・診療を行っており且つ全員が日本泌尿器科学会専門医・指導医です。上述したように小児期の泌尿器科疾患は先天性疾患と後天性疾患(成人と同じ疾患)が含まれており当科は小児期の泌尿器科疾患に対応するためには理想的なスタッフが揃っています。
特記すべきこととして当科は小児期の尿路結石治療に対応できる数少ない施設です。

主な疾患

【停留精巣】 
精巣が陰嚢内に降下していない。男児100人に1人の発生率。放置すれば精巣機能(特に造精機能)の劣化が生じる。1歳までの手術が勧められる。精巣機能不全に対する長期的な経過観察が必要である

【陰嚢水腫】
陰嚢が腫れる。鼡径ヘルニアと同じ原因から生じるが内容が腹水であることが異なる。鼡径ヘルニアが否定されれば2歳までは自然治癒の可能性があり待機できるが、鼡径ヘルニアが完全には否定できない場合には早期手術が勧められる

【尿道下裂】
尿道が正常位置(亀頭部先端)に形成されておらず、包皮の形態異常、陰茎の弯曲をほとんどの症例で合併する。男児250人に1人の発生率。放置すると立位での排尿に困難を生じたり成人期には性行為に支障を来すことがある。

【陰茎形態異常(翼状陰茎)】
先天性の包皮形成異常である。手術適応となる症例では陰茎が埋没し排尿に問題が生じることがある。包皮翻転困難なため成人期に性行為に支障を来す。

【真性(病的)包茎】
包皮の慢性炎症疾患により包皮が硬くなり包皮翻転不能、痛み、排尿困難を来す。包皮環状切除術の絶対的適応。前部尿道に病変が進行することがあり包茎手術後に経過観察が必要である。

【昼間尿失禁】
覚醒時に尿が漏れる状態。先天性の脊髄疾患が原因のことがある。男児では尿道狭窄(内視鏡的尿道狭窄手術で治療可能)の可能性がある。女児では複雑尿路奇形が原因のことがある。高度の便秘から発症することもあり原因の検索には専門的検査が必要である

【尿路感染症】
小児期に繰り返す尿路感染症は先天性尿路異常の可能性が高いので腎臓へのダメージを防ぐため速やかな原因検索が必要となる

【尿路結石】
尿路に結石が詰まった状態。腎結石、尿管結石、膀胱結石などがある。自然排石しない場合には内視鏡を用いてレーザーによる砕石が行われる。

 

医師スタッフ紹介

小児外科診療部長

上岡 克彦(うえおか かつひこ)

【小児泌尿器科研修】

兵庫県立こども病院泌尿器科

フィラデルフィア小児病院 小児泌尿器科

【小児泌尿器科職歴】

兵庫県立こども病院泌尿器科 医長

国立成育医療研究センター泌尿器科 科長

【学位・学会認定】

日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医

日本泌尿器科学会 泌尿器科指導医

泌尿器科診療部長

笠井 奏子(かさい かなこ)

【小児泌尿器科研修】

国立成育医療研究センター泌尿器科

【小児泌尿器科職歴】

国立成育医療研究センター泌尿器科 医員

【学位・学会認定】

日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医

日本泌尿器科学会 泌尿器科指導医

Da Vinchi Certificate

医員

中村 美智子(なかむら みちこ)

【小児泌尿器科研修】

国立成育医療研究センター泌尿器科

Nationwide小児病院(オハイオ・米国)

北海道大学病院泌尿器科

【小児泌尿器科職歴】

北海道大学病院泌尿器科(小児泌尿器) 助教

【学位・学会認定】

日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医

日本泌尿器科学会 泌尿器科指導医

泌尿器腹腔鏡技術認定医

日本小児泌尿器科学会 認定医

Da Vinchi Certificate

臨床研修指導医

医員

久保 太郎(くぼ たろう)

【小児泌尿器科研修】

自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児泌尿器科

【小児泌尿器科職歴】

自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児泌尿器科 助教

【学位・学会認定】

日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医

日本泌尿器科学会 泌尿器科指導医

泌尿器腹腔鏡技術認定医

日本尿路結石症学会 評議員

Da Vinchi Certificate