診療科・部門紹介

斜視・小児眼科専門外来

斜視とは何らかの原因で両目の位置がずれてしまう病気です。位置のずれは左右の水平方向、上下の垂直方向、および回旋方向の3種類に分類でき、それらが合併することもよくあります。
小児では斜視の原因が先天白内障などの眼疾患が原因となることもあり、早い時点での受診が必要となります。眼疾患がなければ、弱視にならないよう、また両眼視機能が発達できるように治療を行う必要があります。自然に治ることもあると受診をのばされる方もいらっしゃいますが、治療が早急に必要な大きな眼疾患を鑑別するためにもまず受診をしてください。一般的な眼検査は0歳でも施行することはできます。受診の際はそれまでの経過をみるため、スナップ写真で結構ですので、幼少時の写真(ずれているものだけでなく、正常のものも)を持参して下さい。その後の治療方針を決定する際に大変参考なります。
成人では、斜視があることにより複視(物が二つにみえる)、頭痛や眼精疲労を生じ、また整容的な面から大変悩まれることがあります。また脳外科的な治療の後や外傷などにより神経が麻痺することが原因で起こる斜視では複視が生じ、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。多くの場合、眼鏡や手術で日常生活を改善する方法があります。脳外科、神経内科を受診されている方は可能であれば紹介状を持参の上、受診をお願いいたします。また成人の方も幼少時の写真、前医での治療経過が分かるものがあれば受診の際に持参してください。今後の治療方針を決定するのに大変参考になります。 斜視は単純に整容的な問題だけでなく、物の見え方に大きな支障をきたしていることがあり、周囲の人が考えている以上にご本人は大変つらい状況にあります。治療法がないと諦めている方も多く、是非一度受診していただくことをお勧めします。

斜視の手術について

眼鏡による治療が反応しない方、あるいは眼鏡の適応でなく斜視のコントロールが不良な方は手術の適応になります。小児の患者さんについては、場合によっては0歳から手術を施行することもあります。手術は全身麻酔で行いますので、術前に麻酔科を受診し、麻酔についての説明を受けていただきます。小さなお子さんでも手術室の様子を事前に見ていただき、手術室で行うことを一通り説明します。ご希望があれば手術の時に麻酔がかかるまで保護者の方一名が手術室に付き添うことも可能です。手術は一泊二日で、日曜日の午後に入院していただき、月曜日に手術、当日中に退院します。手術は片目でも両目でも眼帯はせず、軟膏をつけた状態で帰室します。
成人の患者さんの手術は全身麻酔、局所麻酔のどちらでも施行することができます。手術の種類によっては全身麻酔のみのこともあります。(当院では全身麻酔を希望される方が非常に多いです)全身麻酔、局所麻酔のいずれも一泊二日の入院となります。

手術の方法
眼球には6種類の筋肉(外眼筋)があります。これらの筋肉を後ろにずらす(後転法)、あるいは前に引っ張る(前転法)のが手術の主な方法です。どの筋をどのように、どれくらい動かすのか、片目あるいは両目に行うのかは斜視の種類によって決定します。手術時間は術式にもよりますが、30分程度です。

切開の方法
小児の場合ほとんど小切開で施行しており、創は瞼の裏側に隠れてしまいます。成人の場合、眼球の状態によって小切開にするか、一般的な切開にするかを決めます。いずれにしても、術後眼帯はしませんので、早い時点で両目を使っていただいております。縫合の糸はとても細い吸収糸を使用しますのでほとんどの場合抜糸はしません。

術後の注意点
術後の感染を防ぐため、点眼を指定通りにお願いします。また、プールや温泉など不特定多数の方が利用する公共施設については術後1か月行かないでください。術後に物が二重に見えることはよくあります。ほとんどの場合数日で消失しますが、まれに難治性の複視になることがあります。その場合は眼鏡での矯正や再手術を施行します。術後白目はかなり充血し、違和感もあります。違和感は数週間でとれてきますが、白目の充血は数か月続くこともあります。ただ、最終的には消失しますので、心配しないでください。術後しばらく安定していても、眼の成長に伴い眼位が再度ずれてしまうことがあります。その場合は前回の手術を参考に再手術が必要になることがあります。

医師スタッフ紹介

斜視・小児眼科専門外来医師

森田 由香(もりた ゆか)

【専門領域】

小児眼科・斜視

【学位・学会認定】

日本眼科学会 眼科専門医

小児眼科専門医

弱視斜視専門医